足底筋膜炎とは

足底筋膜と呼ばれる組織の炎症に関連する一般的な足の問題です。足底筋膜は、足のアーチを支え、歩行時や運動時に重要な役割を果たしています。この部位が炎症を起こすことで、足の底に鋭い痛みを引き起こします。

足底腱膜は踵骨から足の指にかけて扇状に伸びる丈夫な組織で、足底の弓状「アーチ」をピンと張ることで、体重を支え、歩行やランニング時に地面と足部の衝撃を和らげるクッションとして働きます。

また、ふくらはぎ〜アキレス腱〜かかとの骨に連結し、足首の可動域やふくらはぎの硬さにも影響を受けます。足の土踏まず(縦アーチ)は足底腱膜以外にも、足の指を曲げる筋肉(長趾屈筋)や足首を内側に捻じる筋肉(後脛骨筋)が関わっています。他にも、足裏には母趾外転筋、小趾外転筋、短趾屈筋などがあり、足底腱膜はこれらの筋肉を覆うようにして土踏まずを構成しています。

症状

1.足底の痛み

踵(かかと)から足の指にかけて、特に足底筋膜の近くで強い痛みを感じます。この痛みは通常、歩き出しや長時間の立ち仕事・歩行・走行時に最も顕著に現れます。

2.硬直感

特に起床時、測定腱膜をはじめとした足裏全体の硬さを感じることが一般的です。

3.かかとの痛み

踵(かかと)の部分の痛みが強調されることがあります。この痛みは、足底腱膜がかかとの骨につながっているために感じられます。

4.腫れや赤み

一部の方は、足底に腫れや赤みが現れることがありますが、これは比較的まれな症状です。

原因

原因には個人差がありますが、以下の要因が組み合わさり引き起こされることが多いです。

オーバーユース
ジャンプやランニングの際に足底腱膜へは牽引力(引っ張る力)と圧迫力が繰り返しかかります。そのため足底 腱膜に細かい傷や炎症が起こり、痛みを引き起こします。 さらに硬い地面の上で練習している方は悪化しやすく、 長時間の立ち仕事をしている方も注意が必要です。
足の形状問題
扁平足や外反母趾、甲高(ハイアーチ)の方は足底腱膜への負担が大きくなります。
靴の不具合
ヒールをよく履く方は、常にふくらはぎの筋肉が収縮している状態になり、筋肉が硬くなります。そのため足首の動きが固くなり、足底腱膜への負担が増加します。またパンプスやローファーなどの靴底がフラットでクッション性のない靴も足底の負担となります。
加齢・筋力低下
加齢を含め、組織の柔軟性低下や筋力の低下(ふくらは ぎの内側にある筋…後脛骨筋)により、足の裏の縦アーチがつぶれやすくなります(扁平足)。低アーチは、足を踏み込んだ際に足の裏の内側に体重がかかりやすくなり、足底腱膜炎を生じる可能性が高くなります。
肥満(体重増加)
体重の増加は足底腱膜にかかる負担を増加させ、炎症の原因となります。

診断

レントゲン検査
レントゲンでは、足底腱膜の炎症のため、レントゲン検査を行っても通常、骨には異常が見られることはありません。しかし、繰り返し足底腱膜が付着部を引っ張る事で、踵骨棘という棘が出来る人がい ます。変形など他の疾患との鑑別や稀な腫瘍などを区別するためにも必 須です。
疼痛誘発検査
足底腱膜の圧痛、腫れや痛みの場所などを確認します。
足底圧検査
足裏の圧力のかかり具合を検査します。荷重位置の検査を行い、踵に負担がかかりやすい立ち方・歩き方などをしているなど判断します。
超音波検査
超音波で、足底腱膜付着部周囲などの腫れや肥厚・炎症の有無などを確認します。
MRI検査
より精密に炎症の程度や範囲、腱の損傷程度などを確認するため行います。踵周辺を含めた全体像の把握や炎症の程度や範囲、腱 の異常まで精査することが可能です。踵骨棘が痛みの原因になっている場合も、MRIで判断が出来ます。 ※MRIはレントゲン・CTとは違い、放射線などを使用しないため、被ばくの心配はありません。

一般的治療法

保存療法

薬や理学療法で痛みを抑える治療が基本です。安静を心がけ、症状が落ち着くまでは、長時間立っていることやその他の発症のきっかけとなった要因を取り除くことが理想的です。

リハビリテーション

ストレッチや筋トレ、負担がかかった使い方などを理学療法士と一緒に行うことは、ステロイド注射のような即効性はありませんが、中・長期的に見るとリハビリによる治療が最も効果が高いです。痛みが起きたきっかけが無い方は、足底腱膜への負担が原因の一つなので、負担がかからない様にリハビリを行います。

必要に応じて、テーピングなどを行い患部の負担軽減を目指します。また、電気療法や超音波治療などの物理療法も組み合わせながら実施します。

薬物療法

炎症がある場合は、ロキソニンや湿布をすることで炎症を抑え症状が改善します。

装具療法(インソール)

インソール使用よって、足底部のアーチ形態を機能的、解剖的に補正して足部のアライメントを改善します。足底部の衝撃を減らすアイテムとしても使用できます。

注射

ステロイド注射

歩行出来ない、仕事に支障が出るほどの強い痛みがある場合、上記治療を行っても症状変化に乏しい場合、ステロイド注射を行うことがあります。
※注射を繰り返し行うことは、組織を脆くさせ、長期的には症状を悪化させる場合もあります。

神経リリース

足底腱膜炎による症状と併発しているもしくは足底の痛みが神経から生じている場合があります。(神経の滑走障害)

足部~足底を走行する神経に対して、生理食塩水を使用し神経周囲の注入し、神経とその周囲の組織とを剥離することで、神経の滑走を促します。再び滑走障害が起きないように合わせてリハビリも行います。

予防法

足底筋のストレッチとケア

ストレッチ

*起床時や、たくさん歩いた後、お風呂上がりなどオススメ。
*勢いをつけて行わない。

ケア

テニスボールやゴルフボールを使用して、足裏で転がす。
*歩行時などに痛みがある部位は行わない。
*踵骨には行わない。(増悪の可能性あり)

足部内在筋群のエクササイズ方法

Short Foot Exercise (タオルギャザー)

足底に力を入れながら、足の指の腹で摘むように意識する。

ミニマムカーフレイズ

踵が少し上がる所でキープする。
*この時にギリギリまで重心を前へ移動すると足趾で支持している感じがわかりやすい。

メディカルジャパンの介入例

2Dエコー(超音波検査)は筋肉、腱、靭帯などの軟部組織の観察に適しています。レントゲンやCTで検出できない痛みの原因となるトリガーポイント、筋線維、靭帯、腱などの軟部組織を調べる際、2Dエコー(超音波検査)は非常に有効です。弊社では、闇雲な施術ではなく、筋・腱内部の状態も把握し、適切なアプローチで治癒へのサポートを行なっております。

2Dエコーを使用することで、軟部組織に対して的確なアプローチが可能になり、痛みの原因を特定しやすくなります。痛みの出ている患部の状態だけでなく、周囲の筋の状態も把握できるため、より的確なアプローチが可能となります。

マイオプレッシャー(歩行診断機)

約二万個のセンサーが可動するトレッドミルの上を歩行すると、自身の足圧、重心移動、左右荷重値が分かります。さらに二台のカメラを使用することにより、自身の歩行姿勢も目で確認できます。

歩行診断をすることで、自分の歩き方のバランスを知れて正しい歩き方ができるようになります。歩き方が改善されると体の無駄な動きが減り、正しく使えなかった部分が使えるようになるので体本来の動きを出すことができるようになり体の負担が減ります。また、歩行バランスの悪さからくる体の諸症状の改善もされます。

歩行診断の様子になります。
1年半のリハビリを経てここまで変化がありました!!

インソール・靴処方

マイオプレッシャー(歩行診断機)にて測定した結果に基づき、より体に合ったインソールの作成を可能としています。歩行時の重心バランスの偏りや足の軌道のぶれなどが自身でも確認することができるため、より正確な指標で足裏全体を正しく使って歩けるように改善されます。

体に合ったインソールをいれることで足本来の機能を引き出し、足のアーチがしっかりサポートされ、正しい重心がかけやすくなります。パフォーマンスアップ、持久力向上、疲労軽減、筋肉や人体へのストレスも軽減され、普段の歩き方も楽になります。

参考文献