変形性股関節症
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変形性股関節症とは
股関節は足の付け根にある関節で、体重を支える役割を担っています。立ち上がる、しゃがむ、歩くなど日常的な動きで使われる大切な関節です。 その動きをスムーズにするために必要なのが、軟骨です。しかし、軟骨は加齢などが原因ですり減っていきます。軟骨が無くなると、骨同士が直接こすれ、痛みや骨の変形を引き起こし、骨や股関節がスムーズに動かなくなります。よって、股関節痛や機能障害を引き起こす。そのような病態を「変形性股関節」と呼びます。
変形性股関節症の有病率は、日本人男性で1%、女性で6%。全体で3.5%と言われています。
主な症状
股関節に痛みを感じる方や股関節が硬くなり関節の動きが制限されている方のなかで、最も多い疾患が「変形性股関節症」です。立ち上がりや歩き始めたときに、脚の付け根に痛みを感じます。
関節の軟骨の摩耗と変性が進行するにつれて痛みが増し、安静にしていても痛みを感じるようになります。その状態になると、長時間歩ことや立っていることがつらくなり、階段昇降時には手すりが欠かせなくなるほか、正座をすることも難しくなる方が多いです。
変形性股関節症の進行度
変形性股関節症では、その進行度を前期・初期・進行期・末期の4つの病期に分類します。
STEP.01 前期
形成不全などの所見はあるが、まだ軟骨が機能しており、関節の隙間は保たれている状態。
股関節に痛みが出始めてから、10年以内に30%が、次のステージ(初期)に進行します。
STEP.02 初期
関節の隙間が狭くなる兆候が表れており、関節面の不整像をみとめます。
5年以内に90%が、次のステージ(進行期)に進行します。
STEP.03 進行期
軟骨がすり減って虫食い像のような所見があり、関節の隙間が消失している状態。
股関節に痛みが出始めてからは、急激に症状が進行することが多いです。
STEP.04 末期
明らかな破壊像が出現します。
痛みが強くなり、歩行にも制限を生じます。人工股関節手術しか治療法はありません。
一般治療法
変形性股関節症の治療法には、手術療法と、手術をせずに回復を待つ保存療法があります。病気が進行してくると人工股関節手術が最も推奨されますが、なんとか手術をしないで治したい、手術を遅らせる方法はないか? と考える方もいるでしょう。
進行度(前期・初期・進行期・末期)が前期・初期であれば、まずは保存療法を考えましょう。
保存療法
保存療法では、股関節にかかる負荷を減らす生活指導を行います。重量物作業や体重など股関節にかかる過度の負担を減らすことは重要です。痛みのある方と反対側に杖をついたりするなど歩行補助具(杖・歩行器)は疼痛、バランス、歩行能力の改善が期待できます。
手術療法
上記のような保存療法でも痛みが改善しない場合は、手術療法を行います。大腿骨側と寛骨臼側との衝突(インピンジメント)に起因する病態があり、それに対する関節内治療として関節鏡視下手術は有用です。青・壮年期から中年期にかけて比較的初期の股関節症に対しては、関節適合性を向上させる骨切り術(自分自身の関節と軟骨を残す手術:関節温存術)は症状緩和および病期進行の予防に効果があります。